本文は、2005年の大会から施行されている"Regulations of the International Chemistry Olympiad (IChO)"の全文を和訳したものである。翻訳に伴う解釈のずれを最小限にとどめるために,原文の表現が可能な限り訳文に反映されるように努めた。訳文の解釈に不明な点があるとき,あるいは原文と訳文の解釈に不一致があるときは、原文に基づいて判断されるべきである。 国際化学オリンピック大会(IChO)競技規則(2008年7月18日改定)
国際化学オリンピック(IChO)規則 (2008年7月18日改訂) 第1条 目 的 IChO(International Chemistry Olympiad)の大会では,中等学校(以下「高校」)の生徒が化学の実力を競い,諸国の生徒と交流する。独創性を発揮しつつ問題に挑戦する生徒が,実力の向上に役立てるほか,世界の仲間たちとつくる友好・協力関係を通じて国際理解の増進につなげることも目的とする。 [大会の開催] 第2条 主催と参加
第6条 国際審議会(International Jury)
IChOの第1回(1968年)以降の情報を収集し,要請があれば提供する国際情報センターの事務局をスロバキア国ブラチスラバ市に置く。 [試験の実施] 第10条 準備問題と本試験
A1 生徒を守るための安全指針 化学に携わる者は誰でも,危険物質の完璧な回避はできないと知っている。どんな物質も適切に扱う必要がある。参加生徒の全員があらゆる物質の危険性を知っているはずはないが,基礎的な安全知識(実験室での飲食・喫煙も,試薬をなめることも厳禁,など)は知っていると主催国は考えてよい。そうした常識的な配慮に加え,IChOの試験では,次に列挙する特別なルールを守らなければならない。実験試験中は,安全面に疑問をもつ生徒がすぐ監督者に申し出て指示を仰げるようにする。 体を守るための注意
IChOの参加生徒なら,実験上の安全措置を適度に知っているが,安全に十分な配慮をするのは国際審議会と主催国の責務となる。『実験室の安全手引(Reference to the Safety Rules for Students in the Laboratory)』によれば,身を守るための責任の一部は生徒の側にもある。ほかの安全関連事項は,実験問題の中身に応じて年ごとに変わる。主催国の実験問題出題者は下記の点に責任をもつ。主催国は,IChOの参加生徒と同等の能力がある生徒や学生に問題を試行させて結果を調べ,安全性を確保するのが望ましい。 主催国向けの指針(A1も参照)
B1 危険警告記号とその説明(学校で使う試薬に適用)
危険性(R = risk)の説明
付録C C1 参加生徒の全員が既習と考えてよい事項(旧シラバスのレベル1と2に相当) 化学の概念
下記の項目(ないし同等の項目)から,筆記問題は6つまで,実験問題は2つまで,準備問題に組み込んでよい。「同等の項目」とは,基礎力のある生徒なら2~3時間の講義や実習,質疑応答により習得できる内容をいう。 化学の概念
実験スキル
付録D 参加生徒の全員が既習と考えてよい化学知識 無機化学
(注) 原文: (alkyne - alkene - alkane - alkyl halide, alcohol - aldehyde, ketone -carboxylic acid derivatives, nitriles - carbonates) 各物質に対応する酸化度から並べると次のようになる (アルキン←アルケン←アルカン→[ハロゲン化アルキル,アルコール]→[アルデヒド,ケトン] →[カルボン酸誘導体,ニトリル] →炭酸塩) |
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