理論問題の詳細
試験問題
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本年度の出題(テーマ I から IV)は全4題。 それぞれの内容は以下のとおりである。それぞれのテーマは2〜3の小問から構成され小問の数は計10問である。理論問題の配点は60点であり,下に示したように小問の配点が割り当てられる。実際の採点は,それぞれの小問を100点満点で採点し,得点率(%)にそれぞれの配点をかけた数値が実際の得点となる。したがって,実際の得点は,小数点で非常に細かい。
テーマ1: 生命現象の化学 (小問2つ)
I−1では,ヘモグロビンによる酸素の輸送に関する事象を,物理化学的に取り扱う問題。類似の問題が準備問題集の Problem 2 に出題されている。(配点6点)
I−2は自然界での窒素の循環に関する話題をもとに,分光分析化学の問題を問う。(配点7点)
テーマ2: 工業生産レベルでの化学 (小問3つ)
II−1は,自然界が生産する多糖,イヌリンから糖類の果糖やマンニトールを生産する工業技術の話題をもとに,有機化学における立体化学の表記や化学反応のメカニズムに関する問題を扱う。準備問題集のProblem
3 が類題である。(配点6点)
II−2では,メタノールの工業的な製造技術を話題に,化学工学・物理化学的の基礎的な考え方を問う問題である。準備問題集,Problem 1
を理解していけば解答できるはずである。(配点6点)
II−3は,芳香族ポリアミド,アラミドの合成や物性に関連した問題である。高分子鎖どうしが水素結合を形成する様子や,高分子化学の基礎が問われる。高分子の水素結合に関しては,オランダ大会の今月の問題
(Question of the Month) ,1月版にアミノ酸のシート構造における水素結合の様子が出題されている。(配点6点)
テーマ3: 自然界における機能分子の化学 (小問2つ)
III−1はリン脂質や界面活性剤などを取り扱う。有機化合物の立体化学やスペクトル解析および,機能性分子を題材とした物理化学の問題である。(配点6点)
III−2は生理活性ペプチド,グルタチオンに関連する問題である。アミノ酸やペプチドに関連する生物有機化学および,NMRによる有機化合物の構造解析に関する出題である。(配点6点)
テーマ4: 光とエネルギーに関連した化学 (小問3つ)
IV−1では,放電ランプに封入する希土類化合物が起こす化学反応について,熱化学方程式を用いて解釈をする問題である。(配点7点)
IV−2は,ルビーが赤い色をしている理由を分光学的に取り扱う。金属原子の d
軌道のエネルギーレベルなどについても問われるが,これは,準備問題集の Problem 14 を予習していけば解けるだろう。(配点5点)
IV−3は,電池に関する問題である。ガソリンで走る自動車のかわりに,リチウム電池や鉛蓄電池を使って走らせる場合,自動車の重量がどれほどになるのか計算したりする。(配点5点)
全体的に高校生というよりは大学教養レベルの問題であり,世界的にも高校生ではとても歯が立たない問題であるように感じられるが,一見難問に見える問題であっても類似の問題が必ず準備問題で出題されているので,これらを予習していくことにより,解答することは可能だろう。